ふぐの話

2018年02月15日(木)


 寒い時期はやはり鍋物が恋しくなります。今回は冬の鍋物の王者ともいえる「ふぐ」のお話です。

 ふぐには毒があるということは、よく知られています。そのため、日本の法律により「ふぐ調理師免許」を持った料理人がきちんと毒を取り除いて、提供される決まりになっています。ふぐを食べる歴史は古く、縄文時代の貝塚からふぐの骨がたくさん出土されています。古代の人々はどのように食べていたのでしょうか。興味がありますね。江戸時代から明治の初めまでは、ふぐによる食中毒がよく起こるため、幕府や政府によってたびたび「ふぐ食禁止令」が出されました。明治22年に東京帝国大学の高橋順太郎教授がふぐの毒である「テトロドトキシン」を発見し、明治25年からふぐ食が解禁されたといわれています。時の総理大臣である伊藤博文が、下関市の春帆楼という料亭で初めてふぐを食べ、その美味しさに感動して解禁を積極的に進めたそうです。

 ふぐは漢字では「河豚」と書きます。中国では食用の「メフグ」が河に住んでおり、そのメスの鳴き声が豚の鳴き声に似ているからだそうです。ふぐは「不遇」や「不具」に通じるので、本場である北九州市や山口県下関市では、濁らず「ふく(福)」と呼んでいます。また、大阪では「食べたら毒に当たる」ことから「鉄砲」という別名があり、ふぐの刺身を「てっさ」、ふぐの鍋物を「てっちり」という名前で親しまれています。

 ふぐの毒は、特に卵巣にたくさんあるといわれています。石川県白山市では、このふぐの卵巣を1年以上塩漬けにし、その後さらに2~3年ほどぬか漬けにして毒を抜いた「ふぐの子のぬか漬け」という珍しい郷土料理があります。これを炊き立てのご飯のおかずで食べたり、お茶漬けに少し載せてもとても美味しいです。それにしても、何年もかけてふぐの毒を抜いておいしく食べてしまうとは、先人たちの努力に驚かされますね。

 ふぐは高級食材の一つですが、本校の授業でもたびたび登場します。ぜひ楽しみにしていてくださいね。

http://nrifs.fra.affrc.go.jp/kakou/souran/ransounukaduke/ より引用

おせち料理

2018年01月09日(火)


 新年明けましておめでとうございます。よいお正月をお迎えでしょうか。

 お正月の料理といえば、やはり「おせち料理」ですね。きっと皆さんもおせち料理を楽しまれたことと思います。今回は、「おせち料理」についてお話しします。

 そもそもおせち料理は、季節の節目や五節句の時に神様にお供えする「節供(せちく)料理」が起源といわれています。日本ではとても古くから始まった習慣ですが、江戸時代に入り数々の節句のうち一番重要な「人日の節句(お正月)」だけが残りました。重箱に詰めるようになったのは天明年間(江戸時代の終わりころ)だそうです。

 その内容は地域ごとに特色もありますが、共通して入っている料理には、それぞれ縁起をかつぐ意味でいわれがあるのをご存知でしょうか。ここで少しご紹介してみましょう。

 『黒 豆』=黒く日焼けするまで、マメに働けるように(無病息災)
 『田作り』=「ごまめ」ともいい、沢山お米がとれますように(五穀豊穣)
 『数の子』=ニシン(二親)にたくさん子供ができますように(子孫繁栄)
 『海 老』=腰が曲がるまで長生きできますように(不老長寿)
 『栗きんとん』=きんとんは「金団」と書き、お金に恵まれますように(金運上昇)

 これ以外にも、紅白かまぼこは縁起の良い色、伊達巻は書物に似ているので「学力向上」、蓮根の酢の物は穴が開いているから「先が見通せるように」など、一年の初めにおめでたい食べ物を食べて、新しい年が良い年になるよう縁起をかつぐ大切な料理なのです。

 最近では、デパートで高額なおせち料理の通信販売が人気なようですが、昔は各家庭で親から子へその作り方が伝承される料理でした。本校でも2年生が年末最後の授業で握りずしを入れた三段重のおせち料理を作りました。(下の写真を見てください)

 皆さんも、お正月におせち料理を食べて、今年一年を良い年にしてくださいね。

鏡餅

2017年12月11日(月)


 今年も最後の月になりました。年末には1年の汚れを落とす大掃除をしたり、新年の準備をしたりと、何かと忙しい季節です。また、家族や地域の皆さんが集まって、「餅つき」をするという習慣があります。出来上がったお餅は、お正月にお雑煮や磯辺巻きなどで食べるだけでなく、「鏡餅」を作って正月の飾りとします。今回は、この「鏡餅」についてお話ししましょう。

 皆さんも鏡餅を見たことがありますよね。お餅を丸くして、何段か重ね、その上にミカンによく似た「橙(だいだい)」という果物を乗せた正月飾りで、平安時代にはすでに記録に登場します。丸いお餅の形が、神社のご神体などに使われる昔の銅製の鏡に似ていることから、「鏡餅」と呼ばれるようになりました。鏡餅は、歳神様(新しい年の神様)へのお供え物です。また、一説には丸い形はお月様を模しているとも言われています。月の満ち欠け(だんだん欠けて見えなくなっても、再び満月に戻ること)を見て、月の「再生力」にあやかりたいという願いが込められているのだそうです。

 鏡餅は12月28日頃からお正月の祝い(松の内)の間飾っておき、その後、木槌などで細かく割って、お汁粉などに入れていただきます。この日を「鏡開き」と呼び、来年は1月11日に当たります。歳神様にお供えしたものを人々がいただくことで、伝統的な「神人共食」の習慣に繋がります。日本では、昔からこのようにして新しい年を祝ってきたのです。

 最近では衛生上の問題から、餅つき大会を中止する自治体も増えてきて、とても残念なことです。でも、お店で「鏡餅」が手軽に買えるようになってきました。皆さんも、餅つきはしなくても、ぜひ「鏡餅」を飾って、日本のお正月を楽しんでいただきたいと思います。

おでんの話

2017年11月14日(火)


 季節も秋から冬に変わってきました。日毎に朝晩の気温が下がり、温かいものがほしくなる季節です。こんな夜はアツアツの「おでん」などが恋しくなりますね。

 一般的に「おでん」というと、出汁に大根や練り物などをいれたものをイメージします。最近ではコンビニのレジ近くに必ずおいてあり、人気商品の一つです。出汁のなかに美味しそうなおでん種が湯気とともに泳ぎ、食欲をそそります。でも、本来のおでんは、全く違った食べ物でした。

 そもそもおでんとは、豆腐やこんにゃくなどを串で刺して焼き、甘めの味噌などを塗り上げた「焼き田楽(やきでんがく)」という料理がルーツで、室町時代に考案されたといわれています。その後江戸時代に串に刺したものを鍋で煮た「煮こみ田楽(にこみでんがく)」が考案され、現在のおでんのルーツになりました。現在では煮こみ田楽を「おでん」、焼き田楽を「田楽」と区別して呼んでいるようです。特に煮こみ田楽は江戸で生まれたため、関西では「関東だき(かんとだき)」などと呼ばれています。(「煮る」という言葉は、関西では「たく」といいます)

 そのように、江戸で生まれた「おでん」ですが、おでん種は日本各地でいろいろと特徴があります。たとえば、関西では鯨の皮(ころ)や舌(さえずり)が定番。福岡では牛筋肉の串が欠かせません。また、沖縄では豚足(とんそく=ブタの足)がおでんの味の決め手になっています。
 郷土料理としてのおでんで面白いのは「静岡おでん」です。主役は静岡県の郷土食材である「黒はんぺん」。これはアジやサバ、イワシなどの青魚をすりつぶしてできた、灰色をした練り物です。
 静岡おでんのもう一つの特徴は、おでん種がすべて串に刺してあり、だし汁は牛筋がベースの黒い汁です。食べるときにはイワシやカツオの削り節と青のりをかけます。おでん種がすべて串に刺さっているところは、おでんのルーツである「焼き田楽」に由来しているのかもしれませんね。

 私の好物のおでん種はやはり「大根」。しっかり出汁が滲みた大根にとろろ昆布をかけて食べると、とってもおいしいです。

 あなたの好みのおでん種は何ですか?

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