「おにぎり」

2018年09月16日(日)


 今年も新米の季節がやってきました。

 お米の美味しい食べ方はたくさんありますが、一番手軽にお米の美味しさを味わえるのは、やはり「おにぎり」ではないでしょうか。おにぎりの歴史は古く、能登半島の中央部にある石川県鹿西町(現中能登町)で2千年前(弥生時代)につくられたおにぎりの化石が発見されています。ちなみに、この鹿西町(ろくせいまち)の「ろく」と、毎月18日の「米食の日」をあわせ、毎年6月18日が「おにぎりの日」なっています。

 「おにぎり」はとてもシンプルな料理ですが、それだけにバリエーションも多く、中の具材の種類や、海苔の巻き方、白米や炊込みご飯のおにぎりなど、いろいろと楽しめます。具材の一番人気は「焼き鮭」、二番目が「梅干し」、三番目が「辛子明太子」だそうです。最近では、「ツナマヨネーズ」や「半熟たまご」なども人気があるようです。

 美味しいおにぎりを作る秘訣は「あまりしっかり握らないこと」。ご飯をフワッと握ると、お鮨のシャリのように口の中でご飯が上手にほぐれ、いっそう美味しくなります。最近では、ご飯を軽く固めただけの「おにぎらず」などという料理まで登場しています。

 私が一番好きなのは「おかか」です。かつお節にしょうゆで味をつけた具材を炊きたてのお米に入れて海苔をまいたおにぎりは、最高に美味しいごちそうです。冷たくなってもそのまま茶碗に入れて、濃い目の緑茶を注いでお茶漬けにするとまた格別の味です。海苔の風味とお茶の旨味に、醤油とかつお節の美味しさが加わり、豊かな香りとともに楽しむことができます。あるいは、表面に味噌や醤油を軽く塗って、「焼きおにぎり」にしても美味しいですね。

 本校調理研究科では、「おいしい素材の研究」をテーマに、4月から自分たちの手で米づくりを行ってきました。9月9日に稲刈りを行ったのですが、今年は200キロ近い豊作でした。10月6日(土)・7日(日)の学園祭にて、そのお米を使って「自家製おにぎり」を調理販売します。6月の草取りの時に収穫した梅で作った自家製梅干しや、4月に学生一人ひとりが仕込んだ味噌も使った、工夫を凝らした「おにぎり」を楽しんでいただけます。学園祭では、彼らの収穫したお米も小分けで販売する予定です。ぜひ味わいに来てください!


「カレーうどんの話」

2018年09月11日(火)


 今年の夏はことのほか暑かったですね。暑い時は冷たいものを食べたくなりますが、思い切って熱いものや辛いものを食べて、たくさん汗をかくと意外にも涼しくなることがあります。そんなわけで今回は残暑の中「カレーうどん」のお話です。

 そもそもカレーが日本で食べられるようになったのが明治時代なので、カレーうどんの歴史はまだそれほど長くありません。その発祥については諸説ありますが、一番有力な説は、東京早稲田にあるお蕎麦屋さんの「三朝庵」だそうです。このお店は、江戸時代(安政年間)創業の老舗で、早稲田大学創立者の大隈重信などもよく通ったお店として有名です。明治も終わりごろになると、このお店の周辺にハイカラな「カレー」店がたくさんできて、お客が少なくなってしまったので、店主が思い切ってそばにカレーをかけた「カレー南蛮」を考案したのが始まりといわれています。(ちなみにこの「三朝庵」は、カツ丼発祥の店としても知られています。店主が工夫好きだったのですね。)

 最近はカレーうどん専門店などもできているようですが、おそば屋さんには「カレーうどん」と「カレー南蛮」という二つのメニューがあることがありますが、皆さんはその違いをご存知ですか?

 カレー南蛮といえば「そば」だということです。元来はうどんの「南蛮」はありません。また、具材も違います。「鴨南蛮」というメニューでもわかるように、そば屋で「南蛮」といえば「長ねぎ」のことです。ですから、本来のカレー南蛮は、そばにカレールゥをかけ、南蛮(長ねぎ)を載せます。それに対して、カレーうどんは、長ねぎではなく玉ねぎを使うことが多いです。つまり
  カレーうどん=玉ねぎいりカレー+うどん
  カレー南蛮 =カレー+そば+長ねぎ載せ
となるのが本来のようです。

 カレーうどんの魅力は、やはり和風出汁の効いた麺つゆで溶いたカレーの美味しさでしょう。和風出汁の風味とカレーの旨味を合わせた味は、ご飯にかけるカレーとはひと味もふた味も違います。うどんにかけるカレーには、必ずトロミがついており、アツアツのうどんをさらに熱くしてくれます。これは、汁の飛び跳ね防止のためもあるそうです。

 まだまだ暑い日が続くようですが、カレーうどんを食べてひと汗かいて、涼しさを呼び込んでみてはいかがでしょうか。

「岡山名物『ばら寿司』」

2018年07月14日(土)


 前回に続き、岡山のもう一つの名物、「ばら寿司」をご紹介します。

 ばら寿司とは、すし飯にすしネタを混ぜ込んだお寿司のことです。その語源は「バラす=解体する」という意味で、すしネタをバラバラにするところからその名がつきました。岡山のばら寿司はとくにその豪華さが有名で、別名「祭りずし」ともよばれ、岡山の郷土料理になっています。

 その具材は海の幸、山の幸がふんだんに使われています。岡山名産の「ままかり」、「鰆(さわら)」「しゃこ」、「車海老」、「焼き穴子」などに加え、「酢ばす(レンコンの酢漬け)」、「黒豆」「煮椎茸」「絹さや」などの山の幸、そして煮ハマグリやちりめんじゃこなどもはいっています。まさにお祭りという特別な日の料理という感じです。

 このばら寿司が岡山の名物になったいきさつがあります。江戸時代の備前岡山藩主、池田光政公が庶民の贅沢を禁じ、「食事を一汁一菜(ご飯以外に汁物とおかずをひと品)にする」ように命令を出しました。そこで庶民が工夫をし、豪華なお寿司をつくって「これでもおかずはひと品」だとしたのが始まりだそうです。また、「返し寿司」といって、上から見ると錦糸玉子だけが乗ったお寿司だけれど、ひっくり返すと豪華な食材があらわれるお寿司なども考案されたといわれています。当時の人々も、なかなか考えたものですね。

 ところで、ばら寿司とちらし寿司の違いをご存知ですか?具材を酢飯に「混ぜ込む」ばら寿司に対して、ちらし寿司は具材をご飯に混ぜずに上に「散らし」ています。つまり、ちらし寿司は「握らないお寿司」です。この区別は関西地方では厳密に守られていますが、関東では具材を混ぜてもちらし寿司ということもありますし、五目ずしなどと呼ばれることもあるそうです。

 下の写真は岡山の老舗すし屋「吾妻寿司」のばら寿司です。このお店では、豪華な具材に加え、岡山の特産品である「黄にら」を茹でて載せています。食べると黄にらの「きゅっ」という音が特徴的で、食欲が掻き立てられました。機会があればぜひ食べてみてください。

「岡山名物『きびだんご』」

2018年06月20日(水)


 皆さんは、「きびだんご」をご存知ですか?

 五穀の一つである、お米に似た「黍(きび)」という穀物で作ったお団子です。「黍」のほんのりした甘味が美味しいお団子で、黄粉(きなこ)やあんこをつけて食べることもあります。「きびだんご」は黍の産地である岡山県の名物の一つで、岡山県は古くは「吉備(きび)の国」とも呼ばれていました。

 「きびだんご」といえば、誰もが思い出すのが「桃太郎」の伝説ですね。桃から生まれた桃太郎が、犬と雉と猿にきびだんごを与えて家来にし、鬼退治をするというお話です。この話は、おとぎ話として語られていますが、岡山県にはこの話の元になったといわれる伝説があります。

 岡山県のことが書かれた古い歴史書によれば、第10代崇神天皇の頃(おそらく西暦300年頃)、岡山県に「温羅(うら)」と呼ばれる乱暴者が住んでいて、人々を苦しめていました。そこで、当時の都から武勇で知られた吉備津彦命(きびつひこのみこと)がやってきて、温羅を見事に退治しました。その後温羅は吉備の国の発展に尽くし、吉備津彦命は吉備津神社に祭られた、と言われています。この温羅は朝鮮半島の百済(くだら)から来た人だったそうで、実際に岡山県には温羅が住んでいたといわれる、朝鮮様式の古城跡が残っています。犬・雉・猿についても、それぞれそのモデルになる家来がいたとのことです。

 現在売られているきびだんごは、ほとんどが普通のもち米でつくられ、風味づけに黍の粉を練りこんでいます。きびだんごを岡山県の名物にしたのは、江戸時代の末期、安政3年(1856年)創業の廣榮堂(こうえいどう)という菓子店で、現在も「元祖 日本一のきび団子」を製造販売しています。下の写真は、岡山市にある廣榮堂本店で販売されている「昔きび団子」です。ほんのりとした甘みと、黍の風味があり、抹茶によく合うお団子でした。皆さんも機会があればぜひこのきび団子を味わってみてください。

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