鏡餅

2017年12月11日(月)


 今年も最後の月になりました。年末には1年の汚れを落とす大掃除をしたり、新年の準備をしたりと、何かと忙しい季節です。また、家族や地域の皆さんが集まって、「餅つき」をするという習慣があります。出来上がったお餅は、お正月にお雑煮や磯辺巻きなどで食べるだけでなく、「鏡餅」を作って正月の飾りとします。今回は、この「鏡餅」についてお話ししましょう。

 皆さんも鏡餅を見たことがありますよね。お餅を丸くして、何段か重ね、その上にミカンによく似た「橙(だいだい)」という果物を乗せた正月飾りで、平安時代にはすでに記録に登場します。丸いお餅の形が、神社のご神体などに使われる昔の銅製の鏡に似ていることから、「鏡餅」と呼ばれるようになりました。鏡餅は、歳神様(新しい年の神様)へのお供え物です。また、一説には丸い形はお月様を模しているとも言われています。月の満ち欠け(だんだん欠けて見えなくなっても、再び満月に戻ること)を見て、月の「再生力」にあやかりたいという願いが込められているのだそうです。

 鏡餅は12月28日頃からお正月の祝い(松の内)の間飾っておき、その後、木槌などで細かく割って、お汁粉などに入れていただきます。この日を「鏡開き」と呼び、来年は1月11日に当たります。歳神様にお供えしたものを人々がいただくことで、伝統的な「神人共食」の習慣に繋がります。日本では、昔からこのようにして新しい年を祝ってきたのです。

 最近では衛生上の問題から、餅つき大会を中止する自治体も増えてきて、とても残念なことです。でも、お店で「鏡餅」が手軽に買えるようになってきました。皆さんも、餅つきはしなくても、ぜひ「鏡餅」を飾って、日本のお正月を楽しんでいただきたいと思います。

おでんの話

2017年11月14日(火)


 季節も秋から冬に変わってきました。日毎に朝晩の気温が下がり、温かいものがほしくなる季節です。こんな夜はアツアツの「おでん」などが恋しくなりますね。

 一般的に「おでん」というと、出汁に大根や練り物などをいれたものをイメージします。最近ではコンビニのレジ近くに必ずおいてあり、人気商品の一つです。出汁のなかに美味しそうなおでん種が湯気とともに泳ぎ、食欲をそそります。でも、本来のおでんは、全く違った食べ物でした。

 そもそもおでんとは、豆腐やこんにゃくなどを串で刺して焼き、甘めの味噌などを塗り上げた「焼き田楽(やきでんがく)」という料理がルーツで、室町時代に考案されたといわれています。その後江戸時代に串に刺したものを鍋で煮た「煮こみ田楽(にこみでんがく)」が考案され、現在のおでんのルーツになりました。現在では煮こみ田楽を「おでん」、焼き田楽を「田楽」と区別して呼んでいるようです。特に煮こみ田楽は江戸で生まれたため、関西では「関東だき(かんとだき)」などと呼ばれています。(「煮る」という言葉は、関西では「たく」といいます)

 そのように、江戸で生まれた「おでん」ですが、おでん種は日本各地でいろいろと特徴があります。たとえば、関西では鯨の皮(ころ)や舌(さえずり)が定番。福岡では牛筋肉の串が欠かせません。また、沖縄では豚足(とんそく=ブタの足)がおでんの味の決め手になっています。
 郷土料理としてのおでんで面白いのは「静岡おでん」です。主役は静岡県の郷土食材である「黒はんぺん」。これはアジやサバ、イワシなどの青魚をすりつぶしてできた、灰色をした練り物です。
 静岡おでんのもう一つの特徴は、おでん種がすべて串に刺してあり、だし汁は牛筋がベースの黒い汁です。食べるときにはイワシやカツオの削り節と青のりをかけます。おでん種がすべて串に刺さっているところは、おでんのルーツである「焼き田楽」に由来しているのかもしれませんね。

 私の好物のおでん種はやはり「大根」。しっかり出汁が滲みた大根にとろろ昆布をかけて食べると、とってもおいしいです。

 あなたの好みのおでん種は何ですか?

秋鮭の話

2017年10月03日(火)


 秋の味覚を代表する魚に「鮭」があります。特にこの時期にとれる鮭は、『秋鮭』『秋味』などと呼ばれ珍重されています。秋の鮭は、海でたくさん栄養をとって大きく成長し、産卵のため生まれた川に戻ってくるので、良く脂がのってとても美味しいことで有名です。鮭といえば北海道の特産物というイメージがありますが、新潟県の村上市など日本海側でも有名な産地があります。

 鮭は大変古くから日本料理の食材として重宝されてきました。平安時代に越前の国(福井県)からの税金の一つとして、鮭が朝廷に献納されたという記録も残っています。昔から代表的な料理は「塩鮭」です。日持ちを良くするため、内臓を取った鮭に塩をしっかり擦り込みます。それを荒縄で巻いた「新巻鮭(あらまきじゃけ)」は、お歳暮の定番商品でした。近年ではもう見られなくなってしまいましたね。

 ところで、鮭は白身魚だというのをご存知ですか?鮭は「鱒(ます)」と同じ仲間です。鱒というと「ニジマス」のように、川に生息する白身の魚ですが、鮭は海で成長する際にオキアミや小エビなど、赤い色のエサを食べて育つため、身が赤くなります。鮭の身がカツオやマグロなどの赤身魚と違い、独特なピンク色をしているのはそのためです。英語で言うと「サーモン(鮭)」と「トラウト(鱒)」と全然違う魚のようですが、実は生物学的に分類できないくらい、同じ仲間だそうです。

 この時期のおいしい食べ方は、やはり軽く塩をした切り身を炭火でじっくり焼く「塩鮭」ですね。少し焦げ目がつくくらい焼いた皮はパリッとこうばしく、身はふっくらとしてうま味がたっぷりあります。そのままご飯のおかずにしてもよいですが、この時期だと身をほぐして炊き立ての新米お握りの具にしてもとても美味しくいただけます。少し塩が強めなら、冷ご飯にのせて鮭茶漬けにしても抜群に美味しいと思います。鮭は皮と身の間に美味しい成分がたくさんあるので、皮も残さず食べることをお勧めします。

 あなたは塩鮭派、おにぎり派、それともお茶漬け派ですか?

秋刀魚(さんま)の話

2017年09月01日(金)


 残暑が続いていますが、気がつけばいつのまにか日が暮れるのが早くなっています。朝晩には虫の声も聞こえてきます。確実に秋の気配が感じられてくる今日この頃です。

 秋はいろいろな食材が美味しくなってきます。まさに「食欲の秋」ですね。数ある旬の食材の中でも、秋の味覚を代表する食べ物といえば、やはり「秋刀魚」ではないでしょうか。

 秋刀魚は南の海で生まれ、夏に北上して北海道沖でたっぷり餌を食べて成長します。そして、秋には産卵のため東北沖から関東沖を南下する回遊魚です。少し前までは、毎年大漁続きで1匹100円もしませんでしたが、地球温暖化で回遊ルートが日本からはなれつつあり、近年では漁獲量がとても減少して高級魚になりつつあります。

 秋刀魚は、お刺身や煮物、炊き込みご飯など、いろいろと調理方法がありますが、やはり代表的な料理は「秋刀魚の塩焼き」ですね。表面が焦げるくらいしっかり焼いた秋刀魚に、酢橘などを絞って大根おろしとともに食べると、口の中に秋の香りが広がります。秋刀魚の塩焼きをおかずに、夏の名残の茄子やミョウガのみそ汁と、新米のご飯をいただくとき、「日本人でよかった・・」と思わずつぶやいてしまいたくなるほどです。もちろん、この時期ならではの「秋刀魚の握り鮨」も捨てがたい逸品ですね。

 これからお店に秋刀魚が出回ります。美味しい秋刀魚の見分け方を教えましょう。秋刀魚を選ぶときは、以下のようなところを良く見てください。
 ① 尾をもって立てたとき、できるだけ曲がらずにまっすぐ立つ
 ② 目が濁っていない
 ③ くちばしの先がやや黄色い
 ④ 顔がやや小さく見える

 最近、スーパーなどではパックで売られることが多いので、手で持って立てることはなかなかできませんが、特に「目の濁り」と「くちばしの色」は鮮度を見極めるために大切です。これならパックがしてあっても確認できるので、ぜひ試してみてください!

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