和食の定義

2016年12月08日(木)

 11月24日が「和食の日」というのをご存知ですか。

 和食文化がユネスコの世界無形文化遺産に登録されたことを受けて、「いいにほんょく」のゴロ合わせから、この日が「和食の日」に制定されました。今年のこの日に、本学も会員である「一般社団法人 和食文化国民会議」が和食の定義を発表しました。(この文の最後に掲載してあります)

 この「和食の定義」は、なんとなく読むと当たり前のことが書かれていますが、少し深読みすると、和食に関するいろいろなことがわかってきます。

 まず、一番大きなことは「米飯を主食とし、汁といろいろなおかずを箸で食べるものを和食の基本とする」ということです。つまり、ハンバーグ定食や麻婆豆腐定食も「和食」だということを意味しています。また、ご飯とおかずを一緒に食べるどんぶり物や、カレーライス・オムライスも和食と考えることができます。

 また、「だしの旨味と伝統的な調味料と使った粉食(小麦粉でできたもの)」も和食とされています。すなわち、そば・うどんはもとより、お好み焼きやたこ焼きも立派な和食だということです。それ以上に「鶏がら」や「とんこつ」などの、だしと醤油・味噌・塩という伝統調味料で味付けされたスープに、小麦でできた麺をいれる「ラーメン」も和食の仲間だということになります。

 このように、今回発表された「和食の定義」によると、いままでグレーゾーンであった料理が多数、「和食」の一つだとして認められました。和食の範囲がとても広く、皆さんの中には、何かしっくりこないと感じる人もいるかと思います。和食とは、いろいろな食文化を日本流に「和」することができる「食」ということだと思います。

 今回の定義で一番大切なことは、いろいろな料理を「和食」かどうか選別することではありません。最後の3行に書かれている「日本の食材を使い」「四季折々の季節感を大切にし」「自然の恵みに感謝する」食事であるということだと思います。

 これからも、自然の恵みに感謝して、おいしい和食を楽しんでください。


そばとうどんの話

2016年10月12日(水)

 10月は新そばの季節。新米同様、秋に収穫最盛期を迎えるそばの実を使い、薫り高いそばが楽しみです。

 皆さんは「たぬきそば」というと、どういうそばを思い出しますか?

 東京生まれの私にとって「たぬきそば」とは、天かす(天ぷらを揚げたときにできる揚げ玉)をのせたそばをすぐ思い浮かべますが、大阪の人にとって「たぬきそば」とは、甘辛く煮た油揚げをのせたそばのことだそうです。「それって、キツネそばじゃないの?」と思わず突っ込みを入れたくなりますね。大阪で「キツネ」といったら、油揚げをのせた「うどん」のことで、同じ具でそばにすれば「たぬきそば」になるようです。

 「たぬき」の名前の由来は、関東では天ぷらそばやうどんの種(具)を抜いた=たね抜き=たぬき、になったというのが一般的で、うどんもそばもどちらもあります。しかし、うどん文化圏である関西では「キツネ」といったら油揚げを入れたうどんのことで、「たぬき」といったら同じ油揚げがのったそばのことだそうです。キツネはうどんに決まっていて、うどんがそばに「化けた」のが「たぬき」だということらしいです。

 欲張りな私は、キツネもたぬきも両方大好きで、油揚げ(キツネ)と天かす(たぬき)の両方の具が入ったそばをよく注文します。お店によって「ムジナそば」とか「化かし合いそば」などと呼ばれています。

秋の新そばの季節、そば屋でこのメニューがあったら、ぜひ一度食べてみてください。


納豆に卵を入れる派?入れない派?

2016年09月08日(木)

 皆さんは納豆には生卵を入れる派ですか?それとも入れない派ですか?

 ある統計によると、納豆を食べる人のうち約6割が生卵を入れて食べるようです。それ以外にも、好みによっていろいろな食品と一緒に食べられています。本校の学生たちに聞いてみたところ、定番のネギやカラシ以外にも、ミョウガやキムチ、なめ茸やオクラなどを加えるという意見や、海苔の佃煮とよく合うという声もありました。味付けも様々で、市販品についてくる醤油出汁と和辛子以外に、砂糖を加えたり、酢を混ぜたり、あるいはマヨネーズで味付けをしてトーストに乗せたりという意見もありました。いろいろな食べ方があるということは、それだけ日本の家庭食品として定着しているということだと思います。

 糸引き納豆は、特に朝食には欠かせない食品の一つです。歴史は古く、平安時代の文献にすでに納豆の文字が見られます。肉を食べる習慣がなく魚が高価だった江戸時代には、庶民の貴重なたんばく源でした。発酵食品である納豆には、腸内環境を改善する効果に加え、血液が固まるのを防ぐ成分も含まれており、和食の誇る健康食品の代表選手です。でも外国人にとっては、あのネバネバ感と独特のにおいが受け入れられず、常に「苦手な日本食」の第1位に上げられてしまいます。反対に考えれば、「納豆が好き」な外国人は、相当日本通ということでしょうか?国内でも関西地方では苦手な人も多く、どちらかというと関東から東北の郷土食という印象が強いようです。

 私のお奨めの食べ方は、魚介と野菜と卵黄をミックスします。鯛やマグロ、イカなどのお魚と、キュウリやタクアン漬、山芋など食感がある野菜を同じ大きさの角切にし、納豆と卵黄(黄味だけ)と少量の醤油で混ぜて、焼き海苔で包んで食べます。そうすると、納豆やお魚の旨味と野菜の食感、そして焼き海苔の香りが加わり、何倍にも美味しくなります。この料理は、地方によって「五色納豆」とか「バクダン」などと呼ばれているようです。ぜひ一度試してみてください。

うなぎのかば焼き

2016年07月24日(日)

7月30日は「土用の丑の日」。そもそも「土用」とは、春夏秋冬の季節の変わり目の18日間のことで、特に夏の「土用」のうち、旧暦の十二支で「丑」にあたる日を「土用の丑の日」といいます。18日間と十二支の巡りあわせなので、年によっては「土用の丑の日」が2回あることも。「土用の丑の日」が「鰻のかば焼き」を食べる日になったのは、江戸時代の学者、平賀源内がうなぎ屋さんに頼まれて、「土用の丑の日は、夏バテ防止に鰻を食べよう!」というキャッチコピーを作ったからだそうで、特別な行事食ではないようです。

「うなぎのかば焼き」は、関東風(江戸風)と関西風(上方風)では大きな違いがあるのをご存知ですか?まずはうなぎのさばき方が違います。関西ではお腹に包丁を入れる「腹開き」ですが、関東では背中から包丁を入れる「背開き」です。普通魚は腹からさばくのが一般的ですが、江戸は武士の町。侍は「はらきり(切腹)」を嫌い、より難しい「背開き」になったようです。また、調理の仕方にも違いがあります。関西はさばいたうなぎをそのまま焼きますが、関東はいったん蒸してから焼きます。この違いの理由は諸説ありますが、関東のうなぎが大ぶりだった、あるいは泥臭かった、という説が有力です。ちなみに、関東風と関西風の境界は愛知県と静岡県の間のようです。

皮目がパリッとした関西風も美味しいですが、私はやはりふんわりと柔らかい関東風が好みです。各店が代々継ぎ足しながら使っている「秘伝のたれ」を、白飯にたっぷりとしみこんだ「うな重」のふたを開け、山椒の粉末をたっぷりとかけて食べると、思わず笑顔になりますね。最近では天然うなぎが高級食材になってしまいましたが、国産であれば養殖でもとても美味しいうなぎも増えています。

土用の丑の日には、奮発して「うなぎ」食べて、暑い夏を乗り切りましょう!

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