緑茶の話

2017年07月10日(月)


 梅雨の中休み、暑い日が続いています。こんな時は、冷たくてさっぱりとした飲み物がほしくなりますね。今日は「冷たいお茶」をご紹介します。最近ではペットボトルのお茶が大ブームですが、やはりお茶は急須(きゅうす)で淹れた方が何倍も美味しくなります。

 一番簡単な方法は、「お茶をお湯で淹れ、氷を入れて冷ます」やり方です。この場合は、氷でお茶が薄まりますので、かなり濃い目に淹れる必要があります。味はお湯で淹れたときとほぼ同じで、お茶特有の「甘味」「渋味」「苦味」があるお茶になります。私のお奨めは「水で淹れる」方法。急須にお好みの茶葉を入れ、冷水を注ぎ10分から15分くらいかけて気長に淹れてみると、ほのかな黄色をした冷茶になります。このお茶は甘味が強いのが特徴です。甘いと感じるうま味成分(アミノ酸)は、低い温度でも抽出されます。また、お湯の温度が高いほど、渋味や苦味の元となるカテキン類が多く溶け出してくるからです。玉露などのおいしいお茶は、やや温めの60度くらいで淹れると美味しいと言われているのは、そういう理由からです。

 そもそもお茶は奈良時代に中国から日本に伝わってきました。まずは抹茶が伝わり、その後鎌倉時代に煎茶の製法や飲み方が確立されました。特に抹茶は、本家の中国ではすでに飲まれなくなってしまっているので、抹茶をいただく「茶道」が日本独特の文化となってしまいました。

 最後に、急須に残った茶葉をぜひ食べてみることをお勧めします。茶葉は究極の無農薬野菜ですし、まだまだ栄養分がたくさん残っています。かつお節などを少々ふりかけ、ポン酢で味付けして食べれば、とても美味しい一品となります。茶どころの静岡では、かき揚げ天ぷらに茶葉を混ぜたりして楽しんでいるようです。ぜひお試しください。

あじフライ

2017年06月02日(金)

 新緑の季節が過ぎ、強い日差しの日が続いていましたが、東京では5月の下旬から雨が多くなりました。まもなく「梅雨(つゆ)」の季節ですね。この時期は、アジやイワシなどの青魚が旬を迎えます。これらの魚は、お魚屋さんに一年中並んでいますが、特にこの時期のものがおいしく、「梅雨アジ」「梅雨イワシ」などと呼ばれています。

 中でもアジは、その語源が「味がいいから」という説もあるくらいで、「刺身」や「たたき」、味噌と合わせて包丁でたたいた「なめろう」など、いろいろな料理があります。生で楽しむ以外にも、塩焼きにしてよし、煮付けてもよし、一夜干し(干物)にしても美味しい大衆魚です。

 今日はあじフライについてお話しします。

 大ぶりのアジを背開きにして、少し塩をふって冷蔵庫で30分くらい寝かせます。そうすると身から余分な水分とともに特有の臭みが抜けていきます。その後、衣をつけて高温でさっとフライにします。衣のサクサク感と、ふっくらとした身の旨味がとても美味しい一品です。

 ところで、「あじフライ」は和食でしょうか?それとも洋食でしょうか?ここは皆さんの間でも少々議論の分かれるところですね。「フライ料理」はそもそも洋食です(衣にパン粉を使います)。でも、とんかつは同じパン粉で揚げても、和食だと思う人が大多数でしょう。「フライ料理」は明治初期に日本に洋食として入ってきましたが、100年以上の年月をかけてすっかり「和食」化してきました。

 あじフライは、ソースやタルタルソースをかけて食べる人が多いようです。私のおすすめは、「醤油と和辛子」で食べる方法。衣のサクサクとした食感を楽しみながら、ふっくらとしたアジの身に醤油がしみてうま味がまし、アジ本来の美味しさが際立ってきます。あじフライを醤油で食べると、「やっぱりあじフライは和食だな」と実感できると思います。ぜひ一度試してください。

たけのこ尽くし

2017年04月26日(水)

 4月になり、新年度が始まりました。本校でも、2年生となった先輩が新入生を心尽くしの手料理で「おもてなし」して、授業がスタートしました。

 桜の季節が終わった途端、お店にはもう「たけのこ」が並んでいます。たけのこは竹かんむりに「旬」という字を書きます。その名の通り「竹の旬」をいただく食材です。「旬」とは「食材の一番おいしい時期」という意味ですが、暦では「上旬」「中旬」のようにだいたい10日間くらいをさします。すなわち、たけのこの旬はまさに「10日間」の命だということでしょうか。驚くべきことに、竹は実は「イネ科」の植物です。なるほど日本や中国南部のように「米文化圏」になじみの深い食材なはずですね。

 たけのこは食物繊維や疲労回復に役立つ成分などが豊富に含まれており、とても体に良い食材の一つです。また、日本料理の基本である『五法』=「焼く」「煮る」「揚げる」「蒸す」そして「切る(生)」のすべての調理法で美味しくいただける、数少ない食材の一つです。たけのこを生で食べるというのは、あまり知られていませんが、名産地である京都では、朝掘りの柔らかくみずみずしいたけのこをお刺身で楽しむこともできます。(写真を見てください)

 私のおすすめは、やはり「炭火焼」です。外側の皮をむかずに、そのまま炭火で真っ黒になるまで焼き上げると、中は「蒸し焼き」状態となります。すこし塩をふって食べると、峻烈な初夏の香りと甘み、そしてたけのこ独特の「シャクッ」という食感が際立ち、とても美味しいと思います。それ以外にも、炊き込みご飯、わかめと合わせた「若竹煮」、かつお節をたっぷり使った「土佐煮」、たけのこの天ぷら、そしてたけのこの味噌汁など、いろいろな調理法が楽しめます。皆さんもぜひ、この季節の旬の食材の代表であるたけのこを使って、「たけのこ尽くし」を楽しんでみてください。


恵方巻きの話

2017年02月01日(水)

 今回も、暦のお話です。

 春の節分に、その年の縁起の良い方角を向いて巻き寿司を食べる「恵方巻き」は、私の記憶では10年前くらいから、だんだん知られるようになってきた気がします。その由来には諸説ありますが、どうやら関西が発祥のようです。昭和7年に「大阪鮓商組合」がお寿司の販売促進のため「幸運の巻き寿司」の宣伝を始めたのが、いまの恵方巻きの始まりだといわれています。

 節分といえば「豆まき」を思い浮かべますが、そもそも節分とはどういう日なのでしょうか。

 日本には四季があります。旧暦で一年を24種類の季節を表す「二十四節気」では、季節ごとの始まりの日を「立春」「立夏」「立秋」「立冬」といい、その前日を「季節の替わり目=節分(季かれ目)」といいます。今年の場合は2月4日が立春ですから、その前日の2月3日が節分というわけです。つまり、旧暦では2月4日が「春の始まり=お正月」となり、その前日の節分が大晦日ということですね。そのため、春の節分には古くから旧暦の年末年始を祝うさまざまな行事が行われており、豆まき(追儺式)などもその一つです。

 節分は季節の分かれ目なので、1年に4回あります。そのため、某有名コンビニが「夏の恵方巻き」や「秋の恵方巻き」など、それぞれの季節ごとに恵方巻きを考案して売り出そうとしたこともあるそうです。そう思うと、最近の恵方巻きブームは、日本の伝統行事というより「バレンタインデーのチョコレート」のようにお店の企画に乗せられている感じもありますね。

 ちなみに、今年の恵方は「北北西」だそうです。恵方巻きの具材は、七福神にあやかって7種類詰めるのがよいとされています。恵方巻きを信じる人は、ぜひ節分の夜に7種類の具材が入った恵方巻きを、北北西を向いて無言で黙々と1本食べきってみてください!


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