学校長コラム「学校長の一膳講座」

秋刀魚(さんま)の話

2017年09月01日(金)

 残暑が続いていますが、気がつけばいつのまにか日が暮れるのが早くなっています。朝晩には虫の声も聞こえてきます。確実に秋の気配が感じられてくる今日この頃です。

 秋はいろいろな食材が美味しくなってきます。まさに「食欲の秋」ですね。数ある旬の食材の中でも、秋の味覚を代表する食べ物といえば、やはり「秋刀魚」ではないでしょうか。

 秋刀魚は南の海で生まれ、夏に北上して北海道沖でたっぷり餌を食べて成長します。そして、秋には産卵のため東北沖から関東沖を南下する回遊魚です。少し前までは、毎年大漁続きで1匹100円もしませんでしたが、地球温暖化で回遊ルートが日本からはなれつつあり、近年では漁獲量がとても減少して高級魚になりつつあります。

 秋刀魚は、お刺身や煮物、炊き込みご飯など、いろいろと調理方法がありますが、やはり代表的な料理は「秋刀魚の塩焼き」ですね。表面が焦げるくらいしっかり焼いた秋刀魚に、酢橘などを絞って大根おろしとともに食べると、口の中に秋の香りが広がります。秋刀魚の塩焼きをおかずに、夏の名残の茄子やミョウガのみそ汁と、新米のご飯をいただくとき、「日本人でよかった・・」と思わずつぶやいてしまいたくなるほどです。もちろん、この時期ならではの「秋刀魚の握り鮨」も捨てがたい逸品ですね。

 これからお店に秋刀魚が出回ります。美味しい秋刀魚の見分け方を教えましょう。秋刀魚を選ぶときは、以下のようなところを良く見てください。
 ① 尾をもって立てたとき、できるだけ曲がらずにまっすぐ立つ
 ② 目が濁っていない
 ③ くちばしの先がやや黄色い
 ④ 顔がやや小さく見える

 最近、スーパーなどではパックで売られることが多いので、手で持って立てることはなかなかできませんが、特に「目の濁り」と「くちばしの色」は鮮度を見極めるために大切です。これならパックがしてあっても確認できるので、ぜひ試してみてください!

かき氷

2017年08月12日(土)

 毎日暑い日が続きますね。皆様お元気で夏休みを楽しまれていますか?
 夏といえばやはり「かき氷」ですね。この夏もう食べましたか?

 かき氷は日本では古くから楽しまれている食べ物です。平安時代に清少納言が書いた「枕草子」の中にも登場します。冷蔵庫の無い当時は、夏に「氷」を食べるというのはとても特別なことで、貴族など特権階級の人しか口にできませんでした。「枕草子」には、『金属製の器に氷を刃物で削った削り氷(けずりひ、文中では「けつりひ」)に蔓草の一種である甘葛(あまかづら・あまづら、蔦の樹液または甘茶蔓の茎の汁)をかけた』と記載されています。

 かき氷が一般庶民に食べられるようになったのは、明治時代からです。まず初めに、横浜の馬車道通りに「氷水店」ができました(このお店は、日本のアイスクリーム販売第1号としても有名です)。当時は、鰹節削り器で氷を削っていたそうです。種類も少なく、かき氷にお砂糖をかけた「雪」、砂糖蜜をかけた「みぞれ」、小豆あんを乗せた「金時」が定番メニューだったようです。

 最近では海外のかき氷も日本で食べられるようになり、いろいろな種類がありますね。私のおすすめかき氷は、大阪府堺市にある「かん袋」というお店の『氷くるみ餅』です(写真を見てください)。このお店は、鎌倉時代からある和菓子屋さんで、もとは「和泉屋」というお店でしたが、安土桃山時代に豊臣秀吉から現在の「かん袋」という名前をもらったという、由緒あるお店です。本来は「くるみ餅」という茶菓子が有名でしたが、このお店も明治以降にこの「くるみ餅」にかき氷を乗せた「氷くるみ餅」を考案しました。ふんわりとした氷の下に、甘くておいしいくるみ餅が隠れています。もし堺市付近に行く機会があれば、ぜひ一度食べてください。
※「かん袋」のHPはコチラから

 夏には欠かせないスイーツの「かき氷」。でも食べ過ぎてお腹をこわさないよう、ご注意を!

http://tomoshibit.exblog.jp/9700371/ より引用

緑茶の話

2017年07月10日(月)

 梅雨の中休み、暑い日が続いています。こんな時は、冷たくてさっぱりとした飲み物がほしくなりますね。今日は「冷たいお茶」をご紹介します。最近ではペットボトルのお茶が大ブームですが、やはりお茶は急須(きゅうす)で淹れた方が何倍も美味しくなります。

 一番簡単な方法は、「お茶をお湯で淹れ、氷を入れて冷ます」やり方です。この場合は、氷でお茶が薄まりますので、かなり濃い目に淹れる必要があります。味はお湯で淹れたときとほぼ同じで、お茶特有の「甘味」「渋味」「苦味」があるお茶になります。私のお奨めは「水で淹れる」方法。急須にお好みの茶葉を入れ、冷水を注ぎ10分から15分くらいかけて気長に淹れてみると、ほのかな黄色をした冷茶になります。このお茶は甘味が強いのが特徴です。甘いと感じるうま味成分(アミノ酸)は、低い温度でも抽出されます。また、お湯の温度が高いほど、渋味や苦味の元となるカテキン類が多く溶け出してくるからです。玉露などのおいしいお茶は、やや温めの60度くらいで淹れると美味しいと言われているのは、そういう理由からです。

 そもそもお茶は奈良時代に中国から日本に伝わってきました。まずは抹茶が伝わり、その後鎌倉時代に煎茶の製法や飲み方が確立されました。特に抹茶は、本家の中国ではすでに飲まれなくなってしまっているので、抹茶をいただく「茶道」が日本独特の文化となってしまいました。

 最後に、急須に残った茶葉をぜひ食べてみることをお勧めします。茶葉は究極の無農薬野菜ですし、まだまだ栄養分がたくさん残っています。かつお節などを少々ふりかけ、ポン酢で味付けして食べれば、とても美味しい一品となります。茶どころの静岡では、かき揚げ天ぷらに茶葉を混ぜたりして楽しんでいるようです。ぜひお試しください。

あじフライ

2017年06月02日(金)
 新緑の季節が過ぎ、強い日差しの日が続いていましたが、東京では5月の下旬から雨が多くなりました。まもなく「梅雨(つゆ)」の季節ですね。この時期は、アジやイワシなどの青魚が旬を迎えます。これらの魚は、お魚屋さんに一年中並んでいますが、特にこの時期のものがおいしく、「梅雨アジ」「梅雨イワシ」などと呼ばれています。

 中でもアジは、その語源が「味がいいから」という説もあるくらいで、「刺身」や「たたき」、味噌と合わせて包丁でたたいた「なめろう」など、いろいろな料理があります。生で楽しむ以外にも、塩焼きにしてよし、煮付けてもよし、一夜干し(干物)にしても美味しい大衆魚です。

 今日はあじフライについてお話しします。

 大ぶりのアジを背開きにして、少し塩をふって冷蔵庫で30分くらい寝かせます。そうすると身から余分な水分とともに特有の臭みが抜けていきます。その後、衣をつけて高温でさっとフライにします。衣のサクサク感と、ふっくらとした身の旨味がとても美味しい一品です。

 ところで、「あじフライ」は和食でしょうか?それとも洋食でしょうか?ここは皆さんの間でも少々議論の分かれるところですね。「フライ料理」はそもそも洋食です(衣にパン粉を使います)。でも、とんかつは同じパン粉で揚げても、和食だと思う人が大多数でしょう。「フライ料理」は明治初期に日本に洋食として入ってきましたが、100年以上の年月をかけてすっかり「和食」化してきました。

 あじフライは、ソースやタルタルソースをかけて食べる人が多いようです。私のおすすめは、「醤油と和辛子」で食べる方法。衣のサクサクとした食感を楽しみながら、ふっくらとしたアジの身に醤油がしみてうま味がまし、アジ本来の美味しさが際立ってきます。あじフライを醤油で食べると、「やっぱりあじフライは和食だな」と実感できると思います。ぜひ一度試してください。